☆ひとみストーリー:もくじ☆

第0話:プロローグ&第1話『無防備すぎた10代~シミ予備軍はお肌の奥に~』 

第2話『恐怖!私、シミのせいで老けて見られてた!?』 

第3話『絶望!~もう何も信じない~』 ←今ココ☆

第4話『転機!~見えてきた希望~』

第5話:最終章『5年前の素肌に~本当にほしかったもの~』&エピローグ

 

第3話『絶望!~もう何も信じない~』

いつものアパートにもどってきた私は、

まず、これからは

シミをしっかり隠そう

と決意しました。

 

でも、

シミをしっかり隠そうと

厚塗りすると、

かえって老けて見えるんです。

 

化粧下地、

コンシーラー、

リキッドファンデ、

パウダーファンデーション、

おしろいパウダー、

 

・・・いろいろなアイテムを駆使して

やってみました。

 

でも乾燥しているから上手くのらないし、

シミが多すぎるから、

コンシーラーも

頬にべったり塗りたくる勢いで

ガシガシ全体につけないといけません。

 

その状態で笑うと、

頬がカピカピになります。

 

 

使っているモノが悪いのか

私のメイク技術がないせいか、

シミをカバーしてもすぐによれて

シミが復活します。

 

私は不器用なので、

うまくいかないうえに、

時間がかかりすぎて娘が

「早くしてよー」と泣きわめく始末。

 

どうしよう、無理だ、

と思いました。

 

シミを隠すなんて、

その気になれば簡単だ、

と思っていた時期もありました。

 

しかし、きちんと隠すには、

それなりの手間と、

テクニックが必要だったのです。

 

 

周りに聞こうにも、

同じようにシミに悩んでいて、

メイクで上手に

隠している人なんて知りません。

 

そもそも今、友達はいません。

 

インターネットを見ても、

いろいろなメイクのテクニック、

アイテムがありすぎて、

だんだん

訳が分からなくなってきました。

 

 

だからとりあえず、

重ためのBBクリームに

パウダーファンデーションを

がっつり重ねづけしてごまかしました。

結構厚塗りになります。

しかも、なんだか汚くて、

変な崩れ方をするのです。

 

そのうえ、

シミを完璧にかくせたか?

というと、

隠しきれてませんでした。

崩れたところから

汚く見えてきてしまったりしてました。

 

本当は、厚塗りは好きじゃありません。

感触的にも重たい感じがして、

きっとお肌にも悪いだろうな、

と思ってました。

でも、シミを隠すためには

仕方ありません。

 

私はしばらく、

不本意だけれど

 

その厚塗りを続けました。

 

だけどやっぱり面倒だし、

厚塗りするようになってから

余計に乾燥が

ひどくなったような気がします。

 

今はまだいいですが、

来年娘が幼稚園に通うようになったら、

朝きっと今以上にバタバタするでしょう。

そんな状態で、

毎日毎日こうして

厚塗りすることを思うと、

気が遠くなりました。

 

 

だから、

やっぱり

根本的にシミを消したい!

と思いました。

 

だから、

ドラッグストアで

シミに効きそうな化粧品を

買っては試しました。

 

 

でもお財布事情から、

美白で有名な高級化粧水を

ライン使い!

とかはできませんでした。

 

最初は、

化粧水は

1000円くらいのやつから。

 

コスパ命!

で、コスパがいいものが好きな私。

「これできいたら儲けもん!」

と思い先ずは千円くらいの、

安いのから始めました。

 

 

今までは、

きっとスキンケアが

テキトーだったから、

ダメだったんだ!

朝晩きちんと

美白化粧水をつけていれば

大丈夫に違いない!

 

そう思って

一心不乱に美白化粧水を

バチャバチャバチャ。

 

 

1ヶ月ぐらい使ったでしょうか。

ズボラでヘタレな私にしては

頑張れたのですが、

特に変化は

ありませんでした。

 

 

いやいや、

でももしかしたら自己判断じゃなく、

他人の目で見てもらったら、

違うかもしれない、と思いました。

 

何より、

私にしては結構頑張ったので、

結果が出てくれないと

やりきれません。

 

そこで、

ソファーでゴロゴロしながら、

テレビを見ている夫に

聞いてみました。

 

 

「ねえねえ、私最近どう?

   ちょっと綺麗になってない?」

 

夫はチラ、

と私を見て言いました。

 

「・・・いいや、全然」

 

夫は再びテレビを見るのに戻りました。

 

「・・・だよねー・・・」

 

 

私は苦笑いしながら、

今の化粧水は

もう二度とリピートするものか、

と心に固く誓いました。

 

私はその後、

スマホで美白化粧品の口コミを

調べまくりました。

 

情報は、

これでもか!

というくらいわんさか出てきました。

 

なんであんなに、

美白に関する情報や、

美白化粧水って多いんでしょうか。

 

 

みんな、

消費者を惑わせようとでも

しているのでしょうか?

 

私には、そう思えました。

 

育児と家事に追われて、

そんなにゆっくり

調べる余裕はなかったので、

 

仕方なく、適当に、

口コミや通販のランキングで

1位をとっているような

「よさげな」商品を探しては買い求め、

試しました。

 

でも、

どれもこれもイマイチでした。

多少お肌の乾燥は

改善した気はしましたけれど、

それだけ。

シミはそのままでした。

 

一本5,000円くらいのやつを

試したりもしましたが、

お財布が厳しかったため、

一本だけで効果見えなかったので、

継続することはしませんでした。

 

 

一度、

ステマっぽい商品を

買いそうになって

しまったこともあります。

 

 

あるとき、Q&Aサイトで

「これ使ったらシミが消えたよ!」

とリンク付きで絶賛している

回答が目に付いたのです。

 

そのリンク先には、

毎回同じ商品の広告がありました。

 

私は、

最初はちょっと胡散臭いなと思いつつも、

 

あまりに何度も

そのリンクつきの回答が出てくるため、

 

だんだん

「もしかして・・・

 ほんとに効くかも・・・」

と思い始めてしまいました。

 

 

その広告をじっくり見てみると、

 

広告には、

SNSで話題沸騰中!

天然植物エキス配合!

 

そしてこの読者モデルさんも使用中!

と、美しいお顔のアップの写真が

デカデカと掲載されています。

 

シミ一つない超キレイなお肌なのに、

その年齢なんと53歳!

しかもすっぴん!

 

まさに美魔女です!

 

いいなあ美魔女!

私もなりたい!!

 

 

PCの画面に

次々と表示されるうたい文句に、

 

「これは・・・

 ついに、

 運命の化粧品に

    出会えたのか!?」

 

と思いました。

 

 

そして、

 

「大好評のためすぐ売り切れます!

 この記事に出会えたあなたは

    超ラッキー!

 さあ今すぐ申し込んで!」

 

と広告に言われるがまま、

気が付いたら

個人情報を入力し始めていました。

 

 

ちょうどリビングから夫が

「おーい、ビールきれてるんだけどー」

とか言ってきたので、

 

「ごめん、ちょっと待ってて!

 私、今、すっごい化粧品を

    注文しようとしてるから!」

と言いました。

 

夫は

「えーなになにー見せてー」

と、珍しく興味を持って

近づいてきました。

 

私は、

ドヤ顔で、

今から買おうとしてる

その化粧品がどれだけすごいか、

Q& Aサイトでどれだけ絶賛されてるか、

PCの画面で、

広告やQ& Aサイトの回答を見せながら

一生懸命説明をしました。

 

すると、

それらを見ながら私の説明を聞いた夫は、

こう言い放ったのです。

 

うわー、

 なにこれ超うさんくせえ。

     なんかステマの匂いがするぞ!

 お前バカじゃねえの。

 ぜったい騙されてるよ!

     一本5千円?ないわー

 ってか、よく知らんけど、

 シミってレーザーとかで

 消すもんじゃないの?

 こないだCMでやってたじゃん」

と言いました。

 

そしてとどめに、

 

「こんなくだらねーもんに、

 俺が頑張って稼いだ金使うなよ・・・」 

 

とつぶやきながら、

台所へ去ってゆきました。

 

 

 

な、なんだとー!?

 

私はあぜんとしました。

 

ああ、

私の夫はいつからこんな、

妻の言葉も信じられないような、

冷たい人間に

なってしまったのでしょうか。

 

4年ぐらい前、

結婚式場のチャペルで、

「病めるときも健やかなるときも~」

とか言って

愛を誓い合った仲だったはずなのに!

 

私がこんなに

一生懸命説明しているのに、

妻の言葉を信じもせずに

「騙されてる」

と決めつけるなんて!

 

これは私の、

運命の化粧品

かもしれない

っていうのに!

 

と思い、

私は怒りに震えました。

 

勝手に購入してやろうかと

思いましたが、

一応お金稼いでるのは夫だし、

こっそり使ってるのバレたら、

めんどくさいから

 

あのハゲバカ夫に、

あの化粧品の素晴らしさを、

なんとしてでもわからせてやらなければ!

と思いました。

 

ついでにイラっとしたので、

夫に

「ごめん。俺が悪かった、

   お前が正しかったんだ」

と言わせたい。

 

そのためには、

あの化粧品に関する有力な情報を集めて

ステマじゃないって

証明しなくてはいけません。

 

そして、もう一度ドヤ顔で説明し、

夫を完膚なきまで

叩きのめしてやろうではないか!

と、腹が立った私は

私は娘がスヤスヤと

眠っているのをいいことに、

必死でその化粧品の

いい口コミを探し始めました。

 

 

その化粧品の

いい口コミはたくさん出てきます。

 

・・・皆、大絶賛してます。

これでもか!ってぐらい。

ひとっつも悪いこと言わない。

 

一見悪いことのようでも、

最後は

「この化粧品は神」

と締めくくってます。

 

不自然なほどだな、

と頭のどこかで思いました。

 

 

でも、

きっと、

それだけ完璧な商品なんでしょう。

 

それくらいでなくちゃ

私のシミは消えないでしょう。

 

頼もしいではないですか!

 

やっぱこれは

私の運命の化粧品に違いないのです。

 

 

でも、よくよく見ていくと、

「この商品の口コミ、ステマだらけじゃね」

という口コミを発見。

 

夫と同じこと言いやがって!

私は少々イラっとしました。

 

あと、少し不安になりました。

 

 

なので私は、

その「商品名+ステマ」という

検索ワードで検索してみました。

 

すると!

どうでしょう!!

 

「全く効果なかった」

「そもそもこの成分で効果あるわけない」

「逆に肌が荒れた」

「クレーム対応もサイアク」

「お肌はちょっと潤ったけど、それだけ」

 

などなどの意見が

大量に出てくるではありませんか!

 

 

そして、調べれば調べるほど、

「(その商品を)

 絶賛してるブログは

 すべてステマか広告

という意見が、

信ぴょう性を帯びてくるのでした。

 

 

確かに、

不自然なほど

ほめちぎるブログが

異様に目につきました。

 

 

でも、私はまだ、

「運命の化粧品」

への希望を捨てきれずいました。

 

 

こんな、

化粧品があふれかえった世の中で、

この出会いは

貴重なものかもしれない。

 

そんな気持ちから、

私はまだ、

「ステマ商品」であることを

認められずにいました。

 

 

「嘘だ・・・嘘だ・・・

 そんなわけ・・・

 そうだ!あの美魔女

 読者モデルさんは・・・?」

 

と思い、

私はその人の名前で

検索してみました。

 

 

するとその人は、

その商品だけでなく、

いろいろ使ってるし

食事から運動から

何から何まで気を使って、

その美貌を

保っていたことがわかりました。

 

 

「そりゃそうか」

 

と私は思いました。

 

美味しい話なんて、

ないのです。

 

やっと目が覚めました。

 

まあ使ってみたら

多少効果はあるかもしれませんが、

とても使う気には

なれませんでした。

 

さらば、ステマ商品。

買わなくてよかった。

 

 

私は、

滝に打たれる修行をした後のような、

ある意味清々しい気持ちで、

PCの電源を切りました。

 

 

完全に私の負けです。

正しいのは、夫のほうでした。

 

私は、夫に、

完全敗北したのです。

戦ってすらいないけど。

 

完全に、

騙されて、

胡散臭いステマ商品に、

手を出そうとしていたのでした。

 

 

しかし、これ、

騙されて買っちゃう人、

多いんじゃない?

と思いました。

 

あんな、

紛らわしい広告

作るほうが悪いと思います。

 

あんな、

使っていたらまるで

簡単にシミが消えるかのように、

間違った夢を見せやがって!

 

あの会社は、

いったいどういう神経で

あんな広告を出しているのでしょうか?

 

ブログの評判も全てヤラセだとすると、

相当ひどいと思いました。

 

私のような、

シミに悩む人間から

お金を搾取しようと

しているに違いありません。

 

 

許さない!

 

 

私は、怒りに震えました

 

私はその後、

怒りのせいか

ステマに対する嗅覚が

異様に敏感になり、

 

あれもステマ、

これもステマ、

それもステマ!

 

と、

なんでも

ステマに

見えてくる

現象がおこりました。

 

そして、

どんな化粧品も

信じられなく

なりました。

 

人間不信ならぬ、

化粧品不信です。

 

一時期は、

普通の、

口コミで高評価の化粧水さえ、

疑ってました。

 

この高評価の口コミ、

全部ヤラセじゃないって、

言い切れる?

そのブログの評判が、

お金目当てで褒めちぎってる

だけの可能性は?

 

だからもう、

そういうレビュー記事や

口コミは見ないようにしよう、

と思いました。

 

でも、それだと、

化粧品を選ぶ基準が、

「パッケージでなんとなく効きそうだから」

とかだけになってしまう。

 

それは流石にまずいと思い、

やっぱり少しは口コミを見てました。

それでも不信感は

ぬぐえず、

気持ちはスッキリとしないままでした。

 

 

その後もちょこちょこ

ネットで調べたりもしましたが、

やはり、

「シミは皮膚科でレーザーして消す」

のが一番確実だ

という情報が多く、

 

やはり夫の言うように、

化粧品なんかでは

簡単に解決しないんだなぁと

思いました。

 

 

それからも私はあきらめきれず、

 

美女ブロガーさんや

美容家さんたちの

ブログを見たりもしました。

 

 

しかし、美容家さんたちは

レーザーでシミを焼いていたり、

美容外科に通いまくっていたり、

やたら高級な化粧品を

つかいまくってたり、

 

私にはあまり参考になりませんでした。

 

一本1万円の

美容液とか

使えるかー!!!

このセレブめー!

こちとら庶民なんじゃ、

バカヤロー!

羨ましいぞ

このヤロー!

 

と思いました。

 

 

また、結構怖い薬

使っている人も多かったです。

 

これらの薬の名前、

聞いたことありますか?

 

ハイドロキノン

レチノール

サリチル酸

カソーダ

 

これらどれも、強力な薬です。

 

ざっくり説明すると、

レーザーもシミを焼いて

カサブタにするんですが、

それを薬剤でやってしまおう!

という発想が、

これらの薬を使う手法です。

 

 

この中でも、

ハイドロキノン&レチノール法は

皮膚科でも採用されている方法なので、

きちんと医師の監督のもと行えば

問題ないです。

 

しかし、

サリチル酸やカソーダは、

一般の人の口コミで広がった方法で、

もともと

シミ用の薬では

ありません

 

ネット上には、

そのような薬をお顔に使う

猛者たちがいましたが、

わたしにはとても、

怖くて真似できない

と思いました。

 

 

また、

ハイドロキノンやレチノールは、

基本的に、

妊娠中はお肌への刺激や

胎児への影響が怖いため、

使わないほうがいい薬とわかりました。

 

私はそろそろ、

2人目が欲しいと思っていました。

 

ハイドロキノンを

配合した一般の化粧品もあり、

安全処方!妊婦さんでも使える!

などと書かれているものもありますが、

 

それでも念のため控えた方がいい、

という意見もありますので、

必ずしも安全とはいえないようでした。

 

もちろん、

そういうのって心配しだしたら

キリがないのですけれど。

 

 

私はまた妊娠する可能性があったため、

それらの薬は怖くて使えませんでした。

 

 

また、サリチル酸やカソーダは、

強力に皮膚を溶かす作用があります。

そんな薬、何かの間違いで

もし娘についてしまったりしたら?

と考えるだけで恐ろしくて、

とても使えませんでした。

 

 

たしかに、それらの強力な薬を使えば、

シミは消えるのかもしれません。

 

今の時代は便利なもので、

お医者さんの処方箋がなければ

買えない薬も、

通販で手に入れることができます。

 

でもほんとうは、

怖い、効果のある薬であればあるほど、

本来きちんと皮膚科などで

処方してもらって、

お医者さんの監督のもとで

使用するべきなのです。

 

処方箋なしで強力な薬を

通販で手に入れても、

それを使う際は

完全に自己責任です。

失敗しても誰も

責任とっちゃくれません。

余計にシミがひどくなっても

泣き寝入りです。

 

超怖いです。

 

 

それに、

サリチル酸やカソーダや

レチノールを使うと、

皮膚が赤くなって

カサブタになります。

そのカサブタは

無理やり剥がしてはいけないものです。

最悪シミが悪化します。

 

ですから薬を塗ったあと

テープを貼って保護したりするのですが、

それも私には現実的ではありません。

 

なぜなら、

うちの娘、

いたずら好きで、

私が絆創膏はってたりすると、

ふざけて「ギャハハハハハハ!」とか

高笑いしながら

ベリっと剥がしてくるからです。

やめろって言ってるんですけどね。

 

カサブタを保護する

テープをはがされて、

もしそのせいでシミが悪化したら、

泣くに泣けませんよね。

 

 

 

また、

それらの怖い薬を使っている最中は、

皮膚が紫外線に弱くなるので、

いつもよりも厳重に

紫外線対策をしなければなりません。

 

理想は、外出をできるだけ控え、

紫外線の少ない季節を選ぶなどして

徹底的に紫外線対策をしながら

それらの薬を使ったほうがいいのです。

 

 

そんなの、

無理無理無理!

と思いました。

 

 

いくらぼっち母娘とはいえ、

娘、公園で遊ぶのは大好きです。

それは一年中そうです。

暑かろうが寒かろうが、

子どもってやつはへっちゃらで

公園へ行きたがる生き物です。

 

1日2日なら、

なんとか室内で

ごまかせるかもしれませんが、

3日以上は無理です。

 

 

「公園行きたいよー」と

泣きわめく娘を抑えてまで

シミ消しするのって

どうなんだろう?

と思いました。

 

 

だからといって、

日焼け止めを何度も塗り直したりは、

過去も全然できなかったので、

できる気はしませんでした。

 

 

ズボラな私に、

完璧な紫外線対策など、

できる気がしません。

 

 

だから、

強力な薬も使えないのです。

 

 

 

 

ならば、

皮膚科でレーザー

一気にシミを消してしまいたい。

そう思いました。

 

しかし、

田舎で娘を預けられるところもなく、

皮膚科も車で1時間かかる

街中にしかありません。

 

実家も遠いし夫も忙しい。

だから娘を預けられない。

お金もそんなに余裕はありません。

 

皮膚科に行く余裕など、

私にはないのです。

 

それから、

娘を夫の休みの日に

預かってもらったとしても、

正直不安です。

 

以前、

歯の詰め物が取れてしまい

銀歯を詰めなおしてもらった時、

夫に娘を預けて何度か

歯医者に行かせてもらいました。

 

そのとき、娘は

「ママはまだ帰ってこないのー!」と

大号泣したり大変だったらしいです。

 

夫も疲れ果てて

「もう嫌だ・・・」

と言い、

その後さんざん

ネチネチ文句を言われました。

 

こういうとき、

「そんくらい、文句言わないでよ!」

と言えるほど、

私の立場は強くありません。

 

我が家の暗黙の了解は、

「金稼いでる方が正義」

です。

我が家のルールでは、

金を稼いでない専業主婦に

そんな発言権はありません。

 

一応それは納得の上で

専業主婦になったから、

もう耐えるしかありません。

 

 

詰め物がとれた歯は

深い虫歯がズキズキして

めっちゃ痛かったので

緊急を要しましたが、

 

シミって、

別に痛くもかゆくもない

のです。

ただ嫌なだけです。

 

シミがあっても死なないのです。

だから、病気で命の危機とか、

痛みに襲われてるのと違って、

 

一般的に見たら、

シミを解決する緊急性は

低いんです。

 

私にとっては

大問題なんですけどね。

 

 

やっぱり、

夫の貴重な休日に、

夫に文句言われながら、

娘も泣かせて、

 

そうまでして

シミ消しするのか?

と言われたら、

正直難しいなと思いました。

 

 

 

シミは消したいけれど、

子どもを預けてまで

シミを消しに行くのは、

今度は母親業を犠牲にするような

気がしました。

 

お肌を犠牲にしてまで

頑張ってきた母親業。

 

シミを消しに行くということは、

今度はそっちの母親業まで

犠牲にしてしまうような

気がしました。

 

 

母親業まで犠牲にしたら、

私にはいったい

何が残るのでしょうか?

 

 

そんなことしたら、

私の価値は何も

なくなってしまうのではないか?

そんな恐怖も、ありました。

 

 

それに、

「子どもや家庭よりも

  自分の美容を優先する女」

だと思われたくない!

という、

謎のプライドがありました。

 

世間的に見て、

そんな風に自分のことを優先するよりも、

シミぐらい我慢して、

一生懸命家計を節約して

暇があれば子どもの世話や

家のことをする、

そういう女性の方が、

「良妻賢母!」

とか言われちゃって

評価も高いんじゃないかと

思い込んでました。

 

専業主婦って、

母親って、

そういうものだと、

なんか勝手に

思い込んでいました。

 

 

だから、

周囲の誰にも

相談しづらくって、

こっそりとドラッグストアや

通販で買った

美白化粧品を使うしか

できなかったのです。

 

そんな理由もあり、

皮膚科でレーザー治療を受けるということは

私の中ですごくハードルが高くて、

自然と選択肢から消えたのです。

 

 

 

シミは消えない。

かといって、

隠すのも

上手に隠せない。

 

 

せめて、

服装や髪型だけでも綺麗にしよう

と思って、

一生懸命、

髪型をアレンジしてみたり、

新しい洋服を

買ってみたりもしました。

 

髪型や服装を整えると

多少マシにはなります。

 

でも、顔の印象が「オバサン」だと、

どんなに髪と服装で工夫したところで、

イマイチあか抜けないのです。

 

 

雑誌やインスタグラムの

おしゃれママの真似をして、

キレイめのブラウスを着てみたり

トレンドのワイドパンツを履いてみても、

なんか全然決まらないのです。

 

結局、

「オバサンちょっとガンバリました☆」

って感じになるんです。

 

20代の頃は似合うと言われていた、

ビジューのいっぱいついた

かわいいネックレスも、

キレイ色のカーデも、

いまつけてみると、

違和感しかありません。

 

それは、

私にファッションのセンスが

ないせいだと思います。

それでも、20代の頃は

なんとかなってました。

お肌が綺麗だったからです。

 

 

でも、お肌が汚くなった今、

もう、

ファッションセンスがないままでは、

私の外見は絶望的でした。

 

 

私はなんだか恥ずかしくなって、

せっかく買ったお洋服もほとんど着ないで

タンスの奥にしまい込みました。

 

ファッションについて学びたいけど

35歳にもなって今さら?

て感じだし、

今はそんな余裕ないよと思いました。

 

 

そんなわけで、

私はシミとの戦いに、

詰んだな・・・

と思いました。

 

どうしよう、

もうダメだ、

と思いました。

 

 

かといって、

シミは、

一度気にしだしてしまうと、

どんどん気になってきます。

 

私は、もう、

シミを見て見ぬふりしていたころの

気持ちには、

到底戻れそうにありませんでした。

 

 

毎朝、

自分の顔を見るのが

嫌で嫌で仕方ありませんでした。

 

せめて、

これ以上シミを増やすまいと、

日焼け止めと

パウダーファンデーションだけは

きっちり塗るようにしましたが、

 

冴えないお肌。

隠れないシミ。

 

毎朝鏡を見るたびにため息をついて、

そんな風に始まる1日は、

気分も最悪です。

 

子どもや夫に、

どうでもいいことで

怒鳴ってしまったり、

些細なことで

気持ちをかき乱されて凹んだりする、

 

毎日そんな感じでした。

 

毎日ストレスは

どんどん溜まって行きました。

 

 

そんなある日、

たまたま児童館へ行った時、

職員さんに声をかけられました。

 

娘があんまりにも人見知りで、

隅っこで私にくっついてばかりなのが

気になって、

話しかけてくれたのでした。

 

 

そこで、

職員さんに、

 

娘が人見知りで困ること、

来年度から幼稚園に入ることが

非常に不安なこと、

 

などを話しました。

 

 

すると、

「幼稚園入園にむけて、

 少しずつでも他の子と関わらせて、

    慣らしていったほうがいいよ!

    じゃないと幼稚園出遅れちゃうよ!」

 

と言われ、

市で開催している、

母親クラブを紹介されました。

 

 

その母親クラブというのは、

だいたい60組ぐらいの

母と子どもが集まり、

毎月1回、

季節のイベントや

紙芝居、絵本の朗読会、

そんな活動を通して、

母親同士や子ども同士の

交流を図ろうとするものでした。

 

私はその会に、

ドキドキしながら参加しました。

 

 

そこに参加しているママたちは

みんなおしゃれな人ばかりでした。

 

 

こういう会に参加するママは、

意識が高い人が多いのか、

雑誌やインスタに出てくるママみたいに、

バッチリ決まったファッションの人が

とても多かったです。

 

お顔も、

みんなちゃんときれいにお化粧していて、

見た限り、

誰もシミでなんて

悩んでいなさそうでした。

 

 

その中に、

なんと、

あの、憧れのママ、

Sさんもいました。

 

これは、

まさかの、

お友達になるチャーーーンス!!

と、私は思いました。

 

私は、

Sさんが誰とも話していないスキをみて、

話しかけに行こうとしました。

 

「あの・・・」

と途中まで声をかけかけて、

Sさんの横顔が目に入りました。

 

 

Sさんはまだ

こちらに気づいていません。

 

Sさんは、

お肌がとても綺麗でした。

 

口元や頬にホクロも見えるから、

たぶん、薄化粧で、

素肌がきれいな人なんだろうな、

と思いました。

 

 

それに引き換え、

私はどうでしょう。

私も一応、

今日は気合を入れて

アイラインとかマスカラとかの

ポイントメイクもしてきました。

 

一応、

コンシーラーをガシガシ塗って、

シミを隠してきました。

 

だから、

いつもよりはマシ、なはずです。

 

でも、メイク崩れてないだろうか?

汚くなってないだろうか?

シミはちゃんと隠れているだろうか?

 

と、不安になりました。

 

私は、娘と一緒に会場を抜け出して、

トイレへ行きました。

 

 

鏡を見て、ショックを受けました。

コンシーラーが、

やっぱり

乾燥小じわに入り込んで、

見事に筋になっていました。

しかも、崩れてきて、

肝心のシミも、

ちょっと浮かび上がってきていました。

 

正直、汚いと思いました。

 

 

きれいなSさんとは似ても似つかない、

醜い私がそこにいました。

 

 

こんな私を見て、

Sさんはどう思うだろう?

たとえ、シミがひどいと思っても、

口に出しては言わないでしょう。

 

 

でも、心の中ではどう思うでしょうか?

 

「 うわあ、

 きっと紫外線対策も

 スキンケアも

 ちゃんとしてこなかった

 んだろうな、

 だらしない人だなぁ

と思われるかもしれません。

 

 

シミだらけで汚いし、

 だらしない人は

 きっと母親としても

 ダメなんだろうな

 あまり友達には

 なりたくないなぁ

と思われるかもしれません。

 

 

母や妹は、

身内だから、

口に出して

言ってくれました

 

 

あれはむしろ、

ありがたかったのです。

普通、気になったって

誰も指摘してくれません。

 

身内ですら、

言わない人もいるでしょう。

たまたまうちの母と妹が、

思ったことをズバズバ言っちゃう

人たちでよかったんです。

 

 

よっぽど親しくて

思ったことをズバッと言える人でないと

「シミひどいんじゃない?大丈夫?」

なんて言えるわけないですよね。

 

 

 

きっと、

みんな、私の顔を見た人は、

口に出さないだけで、

うわぁ、

  シミひどいなぁ、

  オバサンだなぁ

と思っているのです。

 

 

そう思ったら、

私はSさんに話しかけるのが

怖くなってしまいました。

 

Sさんだけでなく、

他のおしゃれでキレイなママたちにも、

「シミだらけで汚い人」

「だらしない人」

と思われるのが怖くて怖くて、

 

 

話しかけようとしても、

足がすくんで、

声が出なくなってしまいました。

 

 

結局、

娘とすみっこでぽつーん、です。

これでは、

せっかく母親クラブに来たのに、

いつもと何も変わりません。

 

 

そのまま、

誰にも話しかけられないまま、

その日の母親クラブは終了しました。

 

 

娘を、幼稚園に向けて

他の子たちと遊ばせたりして

慣らすはずだったのに、

私は自分のシミを気にしたせいで、

肝心の交流が全然できなかった。

 

 

一体何をやっているんだろう。

 

 

私は、激しい自己嫌悪に襲われました。

 

母親クラブは月一回しかないので、

次の日から、

出来る限り公園や児童館に

出かけていこうと思いました。

 

 

でもやっぱり、

自分の顔のシミが気になってしまいます。

 

シミで汚い顔を見られるのが

恥ずかしいから、

公園へ行くときは

いつも以上に

帽子を目深にかぶっていきました。

 

「こんにちはー」

と挨拶をするときも、

目を合わせなきゃとは思うんですが、

相手の顔を見ることができません。

 

恥ずかしくて、

どうしてもすぐに

うつむきたくなってしまいます。

 

 

帽子が必要ない、

室内の児童館などでも、

やっぱり

顔を上げることができませんでした。

 

 

帽子を深くかぶって

うつむいてる。

帽子かぶってなくても

ずっとうつむいてる。

そんな人、

普通に考えて、

話しかけたくないですよね。

 

 

後に言われたのですが、

実際に、

かなり話しかけづらい、

暗い人だと思われていたようです。

 

 

娘自身も人見知りで

なかなか他の子に近づいていきません。

他の子がいると、

ずーっとすみっこで私にひっついたまま、

動かないのです。

 

 

だから結局母娘2人でぼっちです。

 

 

このまま、

娘にずっとお友達が

できなかったらどうしよう。

 

娘がいくら人見知りが激しいと言っても、

誰とも遊べないわけじゃないのです。

地元で私の友達の子と遊んだときは、

娘もちゃんと遊べていたのです。

 

娘がこんなに人見知りなのは、やっぱり、

私が他のママたちと仲良く話すところを

見せられていないからなのだと思いました。

 

 

このまま、

私がシミのせいで

ママ友ができないせいで、

娘にも幼稚園で

お友達ができなかったら

どうしよう。

 

きっと娘は

辛い思いをするに違いありません。

 

そしてそのまま、

登校拒否や引きこもりに

なってしまうかもしれない。

 

そうしたら、

娘は社会人になってもうまくいかず、

一生苦労するかもしれません。

 

 

そんなの耐えられません。

 

 

私が顔のシミが

ひどいせいで、

もしかしたら、

娘の人生まで

台無しにしてしまう

かもしれない

 

 

かといって、

「シミのことは気にしないで話しかける!」

ということが、

どうしてもできなくなっていました。

 

 

シミだらけの顔を、

他人にどう思われているのか?

それを一度意識してしまったら、

怖くて怖くてたまりません。

 

ガチで、

足がすくむ

という経験を、

私ははじめてしました。

 

 

今まで、

何でも気楽にテキトーに

生きてきたのに

 

今まではシミのことも

気にしていなかったのに、

他人からどう見えるか

知ってしまいました。

 

私の顔のシミは、

汚くて醜くて

だらしなく見えるのだと、

自覚してしまいました。

 

 

もう、以前のような

お気楽な自分には、

戻ることができませんでした。

 

 

私はただでさえ口下手だし、

その上こんな顔していたら、

どれだけ

マイナスアドバンテージでしょう。

 

 

そんな自分が

ママ友に話しかけるなんて、

無理無理無理ゲーだ!

と思いました。

 

 

だけど、

化粧品を使ってもシミは消えない。

高級な化粧品に

つぎ込むお金もない。

強力な薬はこわい。

 

 

 

やっぱり皮膚科に行こう、

そう思いました。

でも夫の休みにあわせて、

娘を見ててもらうなど、

全面的に協力してもらわないと

いけません。

 

なおかつ金銭的な

問題もあるので、

独断では決められません。

 

 

 

だから、

思い切って夫に相談しようと

思いました。

 

 

実はあのステマの一件以来、

夫にはちょっと

小バカにされていたのです。

 

私がお風呂上りに

化粧水付けていると、

「うわーそれいくらしたの~

 あのステマじゃないよね~?」

とか、

面白がってからかってくるのです。

 

そのとき私が付けていたのは、

超安上がりな、

その辺のドラッグストアで買った

1本600円ぐらいのやつです。

 

あんな高額ステマ商品

一緒にしてもらっちゃ困ります。

 

美白化粧品に失望した私は、

前のテキトーなケアに

戻ってしまっていたのでした。

 

 

しかし、皮膚科に行くと、

あの高額ステマ商品の

比にならないほどのお金がかかります。

おそらく、私のシミの量からして、

軽く十万円はかかると思われました。

下手すると50万円いくかもしれません。

 

 

だから、

夫にはとても話しづらかったのです。

 

 

でも、毎日毎日、

だれにも話しかけられなくて、

ママ友ができず、

不安とストレスでいっぱいで、

「このシミさえなかったら!」

と思い続けて過ごすこんな毎日、

本当に

嫌で嫌で

たまりませんでした。

私の心は、

もう限界でした。

 

 

 

でも、

夫に話し出すタイミングを

なかなかつかめずにいました。

 

もう私には

皮膚科のレーザーしか

残されていないので、

それをダメだと言われたら、

もう私は絶望するしかありません。

 

 

今後の私と娘の人生のすべては、

夫の返答にかかっていると

いえるのです。

 

 

それが怖くて、

なかなか言い出せませんでした。

 

 

夫に皮膚科のことを

言おうか迷ったまま、

数日が過ぎました。

 

 

 

そんなとき、

地元の高校時代の友人から

LINEが来ました。

なんでも、

今度同窓会をやるらしいのです。

 

参加予定のメンバーを聞いてみると、

なんと、

高校生の頃大好きだった

K君も来るというではありませんか。

 

風の噂では、

K君はいまだ独身で、

東京のIT企業か何かに努めていて、

ますますイケメンに磨きがかかり、

当時よりもさらに

魅力的になっているとのこと。

 

それはぜひ会いたいわ!

と思いました。

 

甘酸っぱい恋心を

とても懐かしく思いました。

 

K君だけでなく、

他の友達の現在も気になります。

会いたいなーと思いました。

 

 

でも、今の私は、

シミだらけの顔面のオバサンです。

 

みんなだって年齢はは同じです。

でも、私の知る限り、

同級生の女子たちは、

当時からきちんと

日焼け止めを塗ったり、

きちんと気を使っていました。

 

 

ということは、

こんなに老けているのは

私だけかもしれません。

 

 

もし、こんな状態で

K君に会ったら何と思われるでしょうか。

「うわー、ひとみちゃん老けたなぁ!」

と言われてしまうかもしれません。

 

 

同窓会は、

三ヶ月後に行われるとのことでした。

今レーザーすれば、

ギリギリ間に合うかもしれない。

そう思いました。

 

そんな、何が何でも同窓会に行きたいと

思ってたわけじゃありません。

もう、なんでもいいから

きっかけが欲しかったのです、

 

このまま、

シミに絶望した

人生なんて嫌だ。

 

自分の人生も、

娘の人生も台無しになんてしたくない。

 

娘には悪いけど、

ちょっとの間、

公園は我慢してもらおう。

 

それか、

死ぬほど重装備で、

紫外線を徹底的にカットしよう!

 

それは辛く厳しい

紫外線との戦いになると思いました。

けど、仕方ないんです。

 

だって、このままじゃ、

娘は、

公園へ行けないより

もっと可哀そうなことに

なるかもしれません。

 

私は、シミを消したいんだ!

消すしかないんだ!

 

シミを消して、

ハッピーライフを

手に入れてやる!!!

 

 

私の心は、決意の炎で燃えました。

 

 

私は、

その日お風呂に入って

娘を寝かしつけてから、

意を決して夫に話しました。

 

 

「今、ちょっといい?」

テレビを見ながら

ポテチをポリポリ食べていた夫は

「何?」

と明らかにダルそうに言いました。

 

 

「ちょっと、ここ行きたいんだけど」

 

と、私はスマホの画面で

皮膚科のホームページを見せました。

 

 

そして、

 

シミがひどく、

実家で妹や母に

指摘されるほどであること、

シミは第一印象を下げて見せるため、

ママ友づくりに非常に不利なこと。

 

私自身もシミのせいで

心が傷ついてもう限界なこと。

 

何より、娘のために、

娘の幼稚園デビューのために、

 

私はシミを消したいんだ、

 

消すしかないんだ、

 

化粧品でもメイクでも

ダメだったんだ!

 

だから皮膚科で

レーザーするしかないので

全面的に協力してほしい、

 

 

・・・ということを

夫に説明しました。

 

 

 

夫はそれを、

ポカーンとして聞いていましたが、

聞き終わると、言いました。

 

で、それいくらかかるの?

 

私は言いました。

「実際カウンセリングしてみないと

    正確にはわからないけど、

 たぶん十万ぐらい・・・・」

 

夫:「はぁぁぁぁあああ!?

 

夫は目を丸くして、

持っていたポテチを

ぽとりと落としました。

 

50万円いくかもしれないと思ってる、

なんてとても言い出せない

雰囲気でした。

 

夫:「お、お前・・・

   そんなの無理に決まってんだろ!

   うちは金持ちじゃないんだぞ!

   そんな高いなら、

   あの怪しい化粧品でも

           使ってればいいじゃないか!?」

 

私:「あれはステマだったんだよ!

   自分でもクソ怪しいって

           言ってたじゃん!

   あんな詐欺商品使っても

           シミは消えないんだよ!

   あのときあなただって、

   皮膚科でレーザーするしかないって

           言ってたじゃん!」

 

夫:「だからって、

   今することないじゃないか!

   もうちょっと落ち着いたら、

   パートにでも行って、

   お金貯めてから行って来いよ!」

 

私:「だから!

   私は、今シミを消さなきゃ

            意味がないの!

   お金は将来パートして

           出世払いで返すから!

   だからいいじゃん!」

 

夫:「行くったってこの皮膚科、

           遠いじゃねえか!

   その間、娘はどうする

           つもりなんだよ!」

 

私:「一日ぐらい見ててよ!」

 

夫:「病院とか歯医者ならともかく、

   お前のそのくだらない

           シミのために見てろって?

   休みの日ぐらい休ませてくれよ!

   そんなシミ、

   厚化粧でもしてればいいじゃないか!

   いっぱいいろんなもん

           塗れば隠れるだろ!」

 

 

ああ、もう、

なんて強情な、

わからずやの夫

なのでしょうか。

 

私はイラっとしたので、

無言でその場を立ち去って、

すぐに洗面へ行き、

メイク道具を出して、

 

化粧下地と、

コンシーラーと、

リキッドファンデーションと、

パウダーファンデーションを

分厚く重ね塗りしました。

 

 

そして、嵐が去ったと思い込んで

再びポテチを食べながら

テレビを見ている夫の

目の前に割り込みました。

 

私「・・・厚塗りするとこうなるんだけど」

 

夫は口からぽとり、

とポテチを落としました。

 

夫「・・・うわあ・・・

      これはひどい・・・

 お前、

 ほんとに老けたな―。

  てかこれ、ウケる―wwww

 オバケだ―

 顔面シミだらけ

 厚塗りオバケがいるぞー

 

夫は、そう言って、

お腹を抱えて

ゲラゲラ笑い始めました。

 

私の顔面が彼の笑いのツボに入ったようで、

笑いは止まらず、

「あーテレビより面白いわー」

とか言いながら笑っていました。

 

 

私は、それを聞いて、

頭の中でプチン、

と何かが切れる音がしました。

 

もう、

限界でした。

 

私は思わずこう叫びました。

 

 

私「バカにしてんじゃねえぞ!

  私がどんだけ

       本気で傷ついてると思ってんだ!

  厚塗りオバケだと!?

 

  ふざけんな!

 

  自分だって鏡見てみろよ!

 

  このハゲ!

    死ね!

 離婚だーッ!!

 

 

そして、

手鏡を持ってきて、

夫の顔の前に突き出しました。

 

私「ホラ!鏡!

  見るがいい!そのおでこ!

  めっちゃ後退してるよね!?

  すっごい後退してるよね!??

  あんた人のこと

       老けたとか言えるわけ!?」

 

そこまで言って、

ハッとしました。

 

夫は無言でした。

 

夫は、無言で、

プルプルと震えていました。

 

・・・そういえば、

夫に「ハゲ」は禁句でした。

 

でも、悪いのは夫です。

 

夫だって、

「老けた」とか

「オバケ」とか

私が傷つくことを

さんざん言って笑ったのです。

 

だから、私も悪いですが、

お互い様です。

 

この喧嘩は、

両成敗です。

たぶん。

両成敗のはずなんです。

 

 

でも、手鏡は、

さすがにやりすぎたかなー、

と思いました。

 

 

 

夫は無言のままでした。

 

空気が凍り付いているような

感じがしました。

 

 

長い長い沈黙が流れました。

 

やがて夫が、

ふう、とため息をついて言いました。

 

夫:「わかったよ。

   別に俺は離婚してもいいぞ。

   でもお前、

   離婚して暮らしていけるのか?

   再婚のあてもないだろ。

 

   そのシミだらけの厚塗りの顔で、

   再就職も不利かもしれないな。

 

   まあ、せいぜい、がんばれよ」

 

 

夫は冷たい声でそれだけいうと、

寝室へ行って

さっさと寝てしまいました。

 

 

 

私は一人、

リビングにぽつん、

と取り残されました。

 

 

私は、

やるせない気持ちでいっぱいでした。

 

 

幸い、

娘は爆睡中のようでした。

このくだらない喧嘩を

聞かれなくてよかった、

と心底思いました。

 

 

なんでこうなったのだろうか?

 

と私は思いました。

 

シミのせいです。

 

全部、

この顔のシミが

悪いのです。

 

 

私はシミに追いつめられるあまり、

夫が一番気にしていることを、

口にしてしまいました。

口にするだけでなく

攻め立ててしまいました。

 

 

私は今まで、

どんなに老けたといわれても、

イライラしても、

夫に「ハゲ」だけは

言わないようにしてきました。

 

 

夫婦である以上、

ある一線を越えてはいけないと

思っていたんです。

「相手の傷つくことは言わない」

その最低限のことだけは、

夫婦として、

いやそれ以前に人間として、

越えてはいけない一線だと

思っていたのです。

 

 

今まで夫にはいろいろ言われてましたが、

まあ、昔からあんな感じだし、

 

私が専業主婦になった今、

この家のお金を

一生懸命稼いでくれてる

夫には前以上に感謝していたし、

 

だから、私だって、

私なりに、耐えて、

頑張ってきたんです。

 

 

 

それなのに。

私は、彼の、

一番傷つくことを言ってしまった。

 

シミのせいで。

シミに必死になるあまり。

 

越えてはいけない一線を

越えてしまった。

 

シミとは、

人格まで変えてしまう

ものなのでしょうか。

 

 

 

ほんとうは、

夫にもっと認めて欲しいのです。

日々、

「ビールー!」

とか

「靴下ー!」

とかだけじゃなくて、

「ひとみ、

   いつも子育てありがとう」

とか

「いつも頑張ってるな、お疲れ様」

とか言って欲しいのです。

 

 

なのに。

 

夫は私に

「老けたなー」

というばかり。

 

 

もし、私の顔が、

シミ一つなく

きれいなお肌だったら、

こんなことにはならなかったんでしょうか。

 

 

夫に「老けた」

とか言われず、

「厚塗りオバケ」

にもならないですみ、

イライラせず、

こんな、

離婚話なんてしないで

すんだのでしょうか。

 

 

もし、

お肌のシミが

なくて

きれいだったら

夫は私を、

私が日々頑張っていることを、

認めて、

ほめて

くれたのでしょうか?

 

 

夫だけじゃなく、

実家の母や妹も、

Sさんも、

他のママたちも、

周りの人も、

みんなみんな、

このシミさえなければ、

私のことを

認めてくれるのでしょうか?

 

 

 

私は

結婚する相手を

間違えたのかもしれない

と思いました。

 

 

一応好きで結婚した夫ですけど、

昔はこの人が運命の人だ、

ずっと一緒にいたい、

と思ったけれど、

違ったのかもしれません

 

 

夫は私の

運命の人なんかではなく、

私には、実は、

他に運命の人が

いるのかもしれません。

 

 

 

きっと、

日々頑張っている

私のことを認めてくれる、

素敵な男性は、

他にいるはずです。

 

・・・いてほしいです。

 

 

 

そして、

私は高校の同窓会の話を

思い出しました。

 

そして、

頭に浮かんだのは

K君、爽やかな笑顔でした。

 

高校時代の、

淡い、

キラキラとした、

夢と希望がいっぱいだった恋心。

 

もしかしたら、

実は、

K君が運命の人だったかも

しれません。

 

 

夫婦仲が険悪になった今、

同窓会で

運命の再開を果たすのです。

 

そして、

見つめあう二人!

恋のアバンチュール!

からの運命の再婚!

 

なーんて展開も

あり得るかもしれません。

 

 

そしたら、

 

こんなハゲで冷たい夫と

田舎のボロいアパートなんか捨てて、

都内庭付き一戸建ての芝生の庭で

娘と新しい夫と大型犬と

キャッキャウフフ

楽しく遊んで暮らすのです!!!

 

 

私の頭の中を、

一瞬そんな妄想が

駆け巡りました。

 

 

しかし、夫が言うように、

今の私はなんの魅力もない

シミだらけの汚い顔した

おばさんです。 

 

皮膚科にも行けないし、

オシャレしたってどうせ、

シミだらけの顔が邪魔して

垢抜けない。

 

たとえK君と再会したとしても、

うわあ、

  ひとみちゃん、

  老けたね

と言われて終わるのがオチです。

 

 

妹にすら老けたって

言われたんです。 

妹よりももっと長い間会っていない

K君から見たら、

私の顔は

どれだけ老けて見えるでしょうか。

 

 

それは、

想像するだに

恐ろしいことでした。

 

 

運命の人との再会も、

恋のアバンチュールも、

庭付き一戸建て芝生の上の大型犬も、

 

シミだらけの

老け顔の

オバサンには、

すべて叶わぬ

夢なのです。

 

 

 

もう私は、

したくても

新しい恋なんて

できないのです。

 

こんなシミだらけの

冴えない老け顔じゃ、

オシャレもメイクも

きまらないんです。

 

 

私の頭の中は、

叶わぬ夢から覚めて、

現実へと戻ってきました。

 

 

でも、現実だって、

絶望でした

 

 

本気出せば、

インスタグラムや雑誌で

ファッションを披露しているような

「イケてるママ」や

「カリスマママ」みたいに、

いつでもなれるんじゃないかと、

心のどこかで思っていました。

 

 

あの、

素敵なキラキラママ、

Sさんやその仲間たちみたいに、

本気出せばなれるんじゃないかと

思っていました。

 

 

でも、どうやら、

もう手遅れなようです

 

 

あの素敵なキラキラママたちの輪には

いつまでも入れず、

娘と2人、

ぼっちのまま過ごすのです。

 

 

どんなに頑張っても、

時を巻き戻すことはできません。 

 

子育て落ち着いて、

皮膚科に行けるようになったとしても、

その頃にはもっとシミがひどくて

もっとお金がかかるかもしれません。

子どもたちにだって

進学とかでお金がかかるし、

結局行くのは無理かもしれない。

そんな風に先延ばししてたら、

おばあちゃんになって

きっともっとしわくちゃになって、

もう皮膚科行ってもダメかもしれない。

 

 

お手入れを怠りまくった

ダメ人間な私は、

もう二度と「イケてるママ」にら

なりたくてもなれず、

それどころか、

女性としても

終わったのです

おしゃれもメイク楽しむことも、

きっと、もう二度とないのです。

 

 

 

私は、

怒りと、

悲しみと、

悔しさと、

やるせなさで、

涙がにじんできました

 

 

 

 

 

翌朝から、

夫とはなんだかギスギスし、

お互い謝ることもなく、

なんだか

よそよそしい感じになりました。

 

 

娘も異変を察したからなのか、

わがままを言ったり

ぐずって私を困らせる回数が

増えました。

 

 

公園へ行っても児童館へ行っても

相変わらずボッチで、

日々焦り、

さらにイライラは増えました。

 

 

朝からシミだらけの顔を見て

ため息をつき、

日中はできるだけ鏡を避けて通るも、

ふとドラッグストアなどで

化粧品のお試し用の鏡が

目に入ってしまったりすると、

「あれ、このおばさん誰?」

と一瞬思って、

自分の顔だったことに気づいて、

ショックを受けるのでした。

 

 

 

そうこうしているうちに、

二人目を妊娠していたことが

発覚しました。

 

妊娠発覚後、

私は激しいつわりに襲われました。

 

つわりで体調が悪くなったせいもあり、

お肌の調子は

前にもまして悪くなりました。

 

もう鏡を見たくないぐらい、

シミも小じわもくすみもひどく、

つわりの苦しみもプラスして、

辛くて、毎日泣いていました。

 

 

「ハゲ事件」以来、

夫とは、些細なことから

何度も大喧嘩しました。

 

夫は妊娠は喜んでくれたものの、

依然としてギスギスした

空気は変わりませんでした。

 

 

夫は以前より仕事が忙しくなって、

あまり家にいられなりました。

私はそんな夫に、

何度も八つ当たりもしました。

 

 

 

そして何よりも、

そうしてイライラして

喧嘩しまくっているのが、

娘にとっていいはずありません。

 

 

子どもって、

下の子が生まれるとき、

ただでさえ赤ちゃん返りしたりと

不安定になるものです。

 

娘も私のお腹が大きくなるにしたがって、

不安と楽しみが半分半分みたいで、

とっても情緒不安定になっていました。

 

 

それに加えて、

シミから始まった両親の不仲。

 

 

娘はいつも

不安そうな顔をしていました。

 

娘には、

本当に申し訳なかったと

思っています。

 

 

その申し訳なさを

埋め合わせるために、

私は少しでも体調が良くなると

娘と目一杯遊んで、

たくさんお散歩に連れていきました。

 

でもちょっと

無理するとまた体調が悪くなり、

つわりはなかなか

スッキリしませんでした。

 

 

私は再び

鏡を見る余裕もなくなりました。

 

 

そして

「女としての人生を捨ててしまった」 

「もうオシャレしたくてもできない」

と言う絶望と、

 

長引くつわりの体調の悪さに、

ストレスが半端なく

毎日精神状態は最悪でした。

 

あまりの辛さに、

電車を見たとき、

一瞬、

「線路に飛び込んだら楽になれるかな」

と思ってしまったこともありました。

 

 

 

たかがシミから始まった、

絶望

まさか、

お腹の子ごと

死を考えるようになる

までになるとは、

自分でも思ってもみませんでした

 

 

 

体も心も、

結構無理していたみたいです。

色々限界でした。

 

 

 

その結果、

妊娠7ヶ月くらいの時に、

切迫早産と診断され、

私は里帰り出産予定の

実家近くの病院で、

絶対安静で寝たきりの

入院生活を

約3ヶ月ほど送るはめに

なってしまったのでした。

 

 

 

☆次回予告!☆

シミとの戦いにみじめに敗れた、

ひとみ。

 

病院のベッドの上で、

いっそ、

もう女としての人生は捨て、

子育てを終えたら出家して

尼にでもなろうかと

瞑想をしていたその時!

 

ある人物のある一言が、

ひとみの人生を

大きく変えることになる!

 

「私、諦めない!」

 

ひとみの魂は、

再び燃え上がった!

 

果たしてひとみは、

シミとの戦いに

勝利することはできるのか!?

 

 

 

次回、

第4話『転機!~見えてきた希望~』

お楽しみに!